書籍装画『雑魚のととまじり』

書籍装画
『雑魚のととまじり』
花咲一男

幻戯書房
装幀:緒方修一
装画:正一

花咲一男さんの随筆/エッセイ『雑魚のととまじり』(幻戯書房)の装画を担当しました。

関東大震災、金融恐慌、満州事変、日支事変、大東亜戦争、配線、そして高度経済成長、バブル崩壊を生き抜いた、近世風俗研究の巨頭による記録。 
大正生れの東京少年は、探偵小説のマニヤとなり、古本屋を巡るうち、男色物を含む春画など、軟派分権の蒐集、研究に没頭、ついにはワイセツ図画頒布罪で逮捕される……。 

「雑魚のととまじり」は諺で、「小物が大物のなかに交じっていること」「能力にふさわしくない地位にいること」などの喩えだそう。そのタイトルについて、著者自身は「謙遜の意味も、自嘲のつもりも全くない。自分で作った運命を冷静に表現したつもりである」と書いておられるが、もちろん、その諺の意味に引っ張られる必要はないとのこと。
タイトルからストレートに「魚籠」「覗いた魚籠の水面」「小魚の群れ」「日本橋での釣り」等といったアイデア。
江戸川乱歩とも交流のあった方なので、昭和初期風俗の「妖しい」雰囲気を絵にしてみたらどうだろうかと思い、裸の人魚をラフにしたところ「描かれた人のだいたいの人々が江戸軟派文献、春画等への愛に満ち溢れているので、合っているのでは」とこちらが採用になった。
存在感のある題字は緒方さんの書き文字。



神保町・東京堂書店にて